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[あ行] お蝶ごろし / 多島斗志之
2004-09-11
そもそもこのリストは長短編混在のつもりでしたが、仮組みして見直したら短編が多かったので、短編限定にしました。多島斗志之もどこかに入れたくて長編「汚名」にしてあったのですが、本作に変更。場所入れ替えなくていいし。短編というよりは中編かな。
博徒で知られる清水の次郎長の妻お蝶は、かつては深川芸者をつとめていた。幕府瓦解にともない昔の情人、新之助の消息を聞く。彰義隊の残党となった彼を捜し出すためにつてをたどるうち……
3人目の妻にして2代目の「お蝶」の女心。浪人になった侍。次郎長の妻を思う心。それぞれの思惑が絡みあう、多島作品独特のせつない空気感。派手さはないけれど、文章全体からたちのぼるこの雰囲気が忘れられません。
加えて、最後まで読んでから冒頭を読み返すと見事な反転に驚き。
多島作品は入手困難が多く、遅れてきた読者としては悲しい。海上タクシーシリーズとか文庫化どうなったんだよう。それどころか未収録短編もまだたくさんあるらしい。本作が収録されている親本も文庫化されたとき差し替えられた作品があって残念です。
【収録書】
- 追憶列車(角川書店:角川文庫) 2003
- マリアごろし異人館の字謎(講談社)1990
【初出】「小説現代」1989年12月臨時増刊号
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