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[か行] 吉備津の釜 / 日影丈吉
2004-09-13
例によって私はこれをアンソロジーではじめて読んだのですが(たぶん「昭和ミステリー大全集」版)、読む前はてっきり「雨月物語」(上田秋成)の本歌取りみたいな話だと思ってました。和風の幻想的な作風の作家だという思いこみがあったからかもしれないけど。(「雨月」の同題の話も怖くて好きだ。ラストシーンは現代のホラー小説顔負け)
事業に失敗した男、洲ノ木は飲み屋で知り合った男に窮状をうち明ける。すると、彼の知り合いが援助してくれるというのだ。翌日洲ノ木は紹介状を持ってその人物の元へ向かうが……
ものすごく短い話なのに、主人公が川下りをしながらの回想シーンは無駄じゃないか?と思いきや、ラストばたばたばたっと畳まれる伏線。おお、そういう話だったのか。この目眩感がミステリー。
ほか「猫の泉」など動物が出てくる短編も心に残っています。これいつも萩原朔太郎「猫町」とごっちゃになるんだよ。あとブラックウッド「アーサー・ヴェジンの奇怪な経験」も。というか、今自分の持ってる本を調べるまでブラックウッドのが「猫町」ってタイトルだと思ってた。人の記憶って。
【収録書】
- 推理小説ベスト15 1960年版/日本探偵作家クラブ編(宝石社)1960
- 現代長篇推理小説全集7(東京書房)1961
- 日影丈吉未刊短篇集成Ⅰ:暗黒回帰(牧神社)1974
- 日本代表ミステリー選集6:人肉料理(角川書店:角川文庫)1975
- かむなぎうた : 日影丈吉傑作選1(社会思想社:現代教養文庫) 1978
- ブラック・ユーモア傑作選/阿刀田高編(光文社)カッパ・ノベルス1981・文庫1989
- 浅草ミステリー傑作選/都筑道夫編(河出書房新社:河出文庫)1987
- 昭和ミステリー大全集・中巻(新潮社:新潮文庫) 1991
- 日影丈吉選集3/種村季弘編(河出書房新社)1995
- 日影丈吉集:怪奇探偵小説名作選8(筑摩書房:ちくま文庫)2003
【映像化】「怖がる人々」第二話/和田誠監督・脚本(松竹)1994
【初出】「宝石」昭和34年1月号
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