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[09賭][た行] 直線大外強襲 / 佐野洋
2004-09-25
私の大好きな作家から一つ。デビュー作の「銅婚式」もどんでんがえしの連続があざやかで、都会的な作風です。珍奇なトリックで驚かせるのではなく、ストーリー運びであっと言わせるところがスタイリッシュ。(まあ読み慣れてくると、そこまでせんでも……と思ったりするけど)
ベテラン騎手の「私」は頼まれて偶然騎乗することになった馬に「既視感」を持つ。新馬のはずなのにこの感覚は?さらにその馬の血統に関する噂がささやかれ……。
騎手を主人公にした連作シリーズ第一作。冒頭の種牝馬に関する考察などから、この騎手の馬に対する愛情や、あたたかみのある人柄が描かれます。レース中に事故をおこした馬のエピソードも泣かせる。なんといっても、騎乗シーンの臨場感と迫力がすごい。ミステリ的なストーリーもいいんですが、このシーンを味わうためだけに何度も再読しました。専門用語の解説も適度に入っていて、テレビでちらっと見たことのある程度で競馬になじみのない読者も楽しめると思います。
長年続いている「推理日記」も大御所なのに若手の作家に細かくツッコミを入れるその真摯さに(^_^;)。都筑道夫との「名探偵論争」を見ても、推理小説を愛する人なんだなあと思います。
【収録書】
- 直線大外強襲
- (講談社)1971
- (角川書店:角川文庫)1974
- (角川春樹事務所:ハルキ文庫)1999
- 推理小説代表作選集1972年版/日本推理作家協会編(講談社)1972・文庫1977
- 盗難車:短編一年に一つ×25・中(光文社:光文社文庫)1985
【初出】「小説現代」1971年6月号
【参考】刊行書リスト
http://home.s00.itscom.net/acier/sano/b-1.html(短編細目記載あり)
この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2004/09/25.html