« 邪馬台国はどこですか? / 鯨統一郎 | メイン | 甦った脳髄 / 草野唯雄 »

[01デビュー][や・ら・わ行] 幽霊列車 / 赤川次郎

2004-10-30

「ミステリをよく読む」という会話をすると「ああ赤川次郎とか」と言われてしまうところの、赤川次郎のデビュー作です。知名度抜群。それほど読んではいないのですが、ホラーもの短編もいいですね。あの読みやすい文体でさらっと怖かったり。


あらすじ中年ヤモメの宇野警部は上司の命令で岩湯谷温泉へ出かけた。8人の乗客が列車の中で消失するという「幽霊列車」事件の調査のためだったのだが、そこに女子大生が素人探偵として現れて……


ユーモアミステリと評されることが多いけれど、底にはなかなかシリアスなものがあります。その見せ方が上手い作家なんでしょうね。

ある程度の水準を保って、大量に供給する方が、高級品を少数の人間にだけ供給するよりも、ある意味では価値があるんじゃないでしょうか。(同書収録「凍りついた太陽」)

赤川次郎が言うと重みが。

のちに連城三紀彦とのコラボレーション企画が「小説推理」誌で行われ、この作品の本歌取りとして連城が「ゴースト・トレイン*1」を、赤川が「ラブレター*2」を載せたとのこと(「愛憎発殺人行」徳間文庫・山前譲解説より)。豪華だなあ。


佐野洋の「推理日記」でもこの作品は何度か話題に上っていて、「夕子は、なぜ宇野と寝たか(文庫版5巻)」という項目もあるんですが、佐野先生、そこに注目ですか(^_^;)。実作家としてはこの割り切りぶりがうらやましいとのこと。

【補足】uminekob37(http://d.hatena.ne.jp/uminekob37/20041118#p2)さんも赤川ホラーについて書かれています。


【収録書】

  • 幽霊列車(文芸春秋)1978・文庫1981
  • 疑惑の構図:「オール読物」推理小説新人賞傑作選2(文藝春秋:文春文庫)1984
  • 無人踏切:鉄道ミステリー傑作選/鮎川哲也編(光文社:光文社文庫)1986
  • ミステリーの愉しみ4/鮎川哲也,島田荘司編(立風書房)1992
  • オール讀物推理小説新人賞篇:文学賞受賞・名作集成5:大活字版/小杉健治,赤川次郎(リブリオ出版)2004
  • 幽霊列車:マンガ版/松森正画(文芸春秋)1996

【初出】「オール讀物」1976年9月号(第15回オール讀物推理新人賞受賞作)

  • *1: 「愛憎発殺人行」収録。連城らしいじっとりした驚きのある作品。合わせて読むとニヤリとする場面も
  • *2: 連城「恋文」の本歌取り

この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2004/10/30.html