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[や・ら・わ行] 乱蝶 / 石沢英太郎

2004-11-03

石沢英太郎も短編の名手として知られる作家です。推理作家協会賞の「視線」も人間心理をついていて、忘れがたい作品でした。短編のツボを押さえた作家は、読後にパズルの駒がカッチリはまるような感覚が気持ちよく、それを味わいたくて他の作品も読んでしまいます。


あらすじ九州のN新聞社に中途採用された黒川は東京で心中未遂をおこしていた。同じ独身寮に住む田村は彼が密室を恐れていることに気づくが……


冒頭、受刑者が刑務所内で作った文芸雑誌のエッセイが載せられていて、中国の伝説の「乱蝶」のイメージが広がります。これがどうストーリーに関わるかというと……解説によると小酒井不木のエッセイにヒントを得たとか。ラスト、読んでいる方も叫びだしたくなりました。

本筋には関係ないけど、羊歯の話がでてくると「おっ」。たいていの作品に出てくるマニアックな知識も、人間の心理と必ずからみあって使われているため無駄な感じがしません。


あまりよい読者ではないので、亡くなったことを知ったのはつい最近でした。その後、追悼文の収められている「さらば大連」(光文社文庫)を入手して一人、遅ればせながら残念な気持ちを反芻しています。いろいろな作家の思い出話の中から電話好きだったことや、作品通りに凝り性だったことが伝わってきます。


【収録書】

  • 羊歯行・乱蝶ほか(講談社:講談社文庫)1978

【初出】「推理ストーリー」1966年12月号

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