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[や・ら・わ行] をぐり / 皆川博子
2004-11-16
ちょっと無理矢理選んだ感がありますが(「を」なんて他に見つからないよ)、皆川博子の短編はどれも素敵です。幽冥の境をこえてしまうような茫洋とした文章が妖しい。前に取り上げた戸川昌子と似たようなところもありますが、そちらは生気あふれる感じでしょうか。ほか自分の好きな女性作家で比べると、小池真理子も幻想的なのを書いていますが、皆川博子よりは理に落ちるかな。あくまで私が読んだ範囲での印象です。
弓削は妹の夫が死亡したため、その姉の所へ久しぶりに出かけていった。事務的な話をするためであったのだが……
ああ野暮だな。雰囲気を味わう小説。女性の美しさにはこんな形もあるのかとハッとします。歌舞伎の小栗判官でも知られる日本中世の説教節「をぐり」が下敷きになっています。はかりごとで殺された小栗判官が妻照手姫の尽力によって復活する話(おおざっぱ)。
同書収録の「朱の檻」も好きな話。朱塗りの座敷牢にまつわる話ですが、ちょっと入ってみたくなってしまう自分がこわい。心の闇を映されているような「怖い話」が好きです。
【収録書】
- たまご猫
- (中央公論社)1991
- (早川書房:ハヤカワ文庫)1998
- 皆川博子作品精華:幻想小説編(幻妖)(白泉社)2001
【初出】「オール讀物」1989年1月号
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