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[さ行][読書小物] ジャケット背広スーツ / 都筑道夫&光文社文庫その2

2004-12-10

本の思い出の回で書いたように、はじめてのおつかいで都筑道夫を「星新一(のショートショート)とまちがえて」買ってしまったので、私にとって未だに短編やショートショート作家のイメージです。なにしろ作品数が膨大で、どれを読んでもまだまだ先は長いや、という気がしてしまう。亡くなられたのも信じられない思い。


あらすじ地下鉄の駅で自分が着ている分に加えて上衣を2着持って走っていった男がいた。ある事件の容疑者がそれを見たと証明できればアリバイが成立するのだが……


これ、クリーニングに洋服を持っていくときいつも思い出してしまいます。この作品で好きなのは3着の上着の理由だけでなく、途中で最初の事件がどっかへ行ってしまうところですね。本来そちらがメインなんですが。


退職した元刑事の父が現職刑事の息子・五郎から聞いた事件を解き明かす安楽椅子探偵連作。シリーズが進むにつれて推理作家の椿先生も事件を持ってきたり、場所が五郎の家から動いたり。

と、いつもの定型とちょっとしたスパイスが楽しかったのですが、正直1巻目が一番おもしろく、だんだん飽きた私は徳間版を数字入りで4巻(実質5巻)まで買ってやめてしまいました。のち復刊されたときに再び読みたくなったのですが、巻数が入らない「退職刑事健在なり」(実質4巻)を持っていなかったので4・6だけを創元推理文庫で買う羽目になるという、コレクターには許せないであろう揃え方に。私には重複で本棚にある方が許せないぞ。


この作品は後に佐野洋との名探偵論争の種になりました。年末や締め切りの忙しいさなかに印刷所に缶詰になってまで反論を書くツヅキ先生。このバトル、今は手に入りにくいかもしれませんが、佐野洋「推理日記2」(講談社文庫)収録です。佐野洋は主人公を弁護士にして地道に調査させたら、なんて言っていますが、それじゃあつまらないでしょう。この論理をこねる「9マイルは遠すぎる」風がいいんだから。


【収録書】

  • 退職刑事(徳間書店:トクマノベルス)1974・文庫1980
  • 退職刑事1(東京創元社:創元推理文庫)2002
  • 恩誼の紐:ベスト・ミステリー2/日本推理作家協会編(光文社:カッパ・ノベルス)1974
  • 残酷ロードショウ:日本ベストミステリー選集5/日本推理作家協会編(光文社:光文社文庫)1989
  • 昭和ミステリー大全集:下巻(新潮社:新潮文庫)1991
  • 煌めきの殺意:問題小説傑作選2:ミステリー篇/徳間文庫編集部編(徳間書店:徳間文庫)1999
  • 推理作家になりたくて6:謎/日本推理作家協会編(文藝春秋)2004

【初出】「問題小説」1974年1月号


*光文社文庫その2

どうやらブックマークも当ったらしい。フィギュアの先に紐(革製らしい)がついているだけなんですが、単に本に挟むだけなんだろうか。足の部分が本の厚みにひっかかるんだけど……。

この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2004/12/10.html