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[さ行] 象と耳鳴り / 恩田陸

2004-12-23

恩田陸もジャンルを固定しにくい作家ではありますが、あえて分類するならファンタジーのSF寄りの人でしょうか。作中にある種のノスタルジーが漂っていて、リアルタイムで「少年ドラマシリーズ」や秋元文庫などのジュブナイルに夢中になった年代の方々にはなつかしい印象があるのではと思います。ちょっと少女漫画チックなところもあるかな。


あらすじ「あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」

退職判事の関根多佳雄が老婦人から聞いた昔語りの真相は……ほか、多佳雄がすれちがう事件の一端を描く連作集。


恩田陸作品はよくラストがふっつり放り出されたようになっていて必ずしもきっちりした作りにはなっていなかったりしますが、この作品集もそういうタッチの作品が多く、想像の余地が多く残されています。この作品も老婦人の過去に何があったのかは想像するしかなく、結論がでるわけではありません。短編の方がこういう趣向が生きるのでは。

また、あとがきにある「象の夜」(赤江瀑)の収録は下記の通り。作者はこれを読んで象が怖くなったとのこと。読んでみたいのでメモ。

  • 虚空のランチ(講談社:講談社ノベルス)2001
  • 八雲が殺した(文芸春秋:文春文庫)1987

装丁は、作者が気に入っていた東京創元社版「歯と爪」(花森安治装丁)と同じに作りたかったとか。書影に出したかったので品切れのハードカバー版の方をリンクしてあります。文庫の背表紙のデザインも合わせてあって、本棚で探しやすい(^_^;)


【収録書】

  • 象と耳鳴り(祥伝社)1999・文庫2003
  • 最新「珠玉推理」大全:中/日本推理作家協会編(光文社:カッパ・ノベルス)1998
  • 怪しい舞踏会/日本推理作家協会編(光文社:光文社文庫)2002

【初出】「小説non」1997年12月号(このミステリーがすごい!2000年版国内6位)

この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2004/12/23.html