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[は行] 文福茶釜 / 黒川博行
2005-02-01
元美術教師の作者による美術ミステリの一編です。美術出版社の社員・佐保が関わる事件。この出版社自体がいかがわしく、美術界って油断できないな~。お宝鑑定とかやってる場合じゃない。
美術年報社の佐保は古い知り合いから、民家の蔵から直接買い出しをする「初出し屋」に騙され、先祖伝来の茶釜をだましとられたという老婆の相談をうけた。佐保はその骨董商の行方を追うのだが……
佐保は決して正義漢でやっているわけじゃないのに(手数料で自分が儲かる、とか)ラストで弱きを助けてしまう結果になるのがいい。ふむ、茶釜って本当に化けるのね。贋作つくりの蘊蓄もどこまで本当なのかなあ。作中に出てくる架空の漫画家・朝倉カゲオの作品タイトルに「探偵ガリレオ」があるのに笑った。東野圭吾と親しいんだっけ。ちょうど初出の頃に発売されてます。
黒川作品は、警察ものやハードボイルドものでも大阪弁の会話文が楽しい。こういう言葉を操れるところが、他地方者にはうらやましい限り。地元の人ならもっとおもしろさを味わえるんだろうなあ。田辺聖子を読んだときなんかにもそう思います。
文春文庫版には作者による各話解説あり。
【収録書】
- 文福茶釜(文藝春秋)1999・文庫2002(第121回直木賞候補作)
- 黒川博行集:ほっとミステリーワールド第9巻:大活字版(リブリオ出版)2000
【初出】「オール讀物」1998年7月号
この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2005/02/01.html