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[は行] ピッケルと幽霊/長井彬
2005-02-25
定年後に乱歩賞を受賞した作家の短編です。検索して初めてもう亡くなっていたことを知りました。趣味の山岳ものや陶芸を取り入れた作品もあり、寡作なのが惜しいなと思います。これは作者本人の短編集未収録作のようです。
田村は山で夫を亡くしたいとこの亜耶子から相談を受けた。事故の時に同行していた正木が形見分けでもらったピッケルを持って出かけると、もう一人連れがいるように扱われるというのだが……
へええ、ピッケルも名刀に例えられるようなものがあるんですね。私は山どころかアウトドア全般に不案内ですが、こういう表現をされるとその品格が伝わってきます。
山の怪談はいろいろな作家が書いていますが、自然の中で事故があっても当事者以外に目撃者がいないという状況が多いからでしょうか。この作品では恋愛問題も絡んでいるので、人間の心の谷底を覗くような怖さがあります。真相を知ってから読み返すと地の文が上手くできてるな~と感心。
個人的な思い出ですが、かなり前に「推理小説が好き」という話をしたところ、普通の読書好きであろうと思われる人に「そういえば最近『原子炉の蟹』ってのを読んだよ」と言われたことがあります。赤川次郎でも西村京太郎でもなくなぜそこで長井彬……?乱歩賞受賞直後*1でもなく、ドラマ化直後*2でもなかったと思うのですが。
【収録書】
- 推理小説代表作選集1988年版/日本推理作家協会編(講談社)1988
- 頭脳明晰、特技殺人/日本推理作家協会編(講談社:講談社文庫)1993
【初出】「小説NON」1987年8月号
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