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[07体] 告げ口心臓/米田三星
2005-04-04
ポーに同題の短編がありますが、国内作家の方で。米田三星の本業は医者。軍医として大陸に渡ったこともあるようです。角川文庫版だと星田三平と同時収録なのがちょっと笑える*1。
医者である「私」は、恩師・阿津原教授に注射をした。その直後、教授は急死し遺体を解剖することになるのだが……
教授の息子で「私」の友人であるA君へあてた手紙の形ではじまります。カルシウム注射ってこの頃流行っていたんでしょうか。すごく気軽に頼んでいるんですけど……。復讐譚に思える話がもう一通の手紙で反転する様子があざやか。タイトルの意味はラストで。
古い探偵小説のアンソロジーを読んでいると、「~氏の連絡先が不明でした。ご存知の方は編集部までご連絡を」みたいな文章が巻末に書いてあることが多く、単独の著書がない作家だと「どんな人だったんだろう?」と気になってしまいます。
*古い医学ミステリについての蛇足
医学をネタにした古い怪奇小説は、現在の眼から見ると「不適切じゃないか」と思える病気の描写もあります。恐ろしさの象徴として出てくるとか。そういうのを見てしまうと、手放しでおもしろがるわけにいかないのが残念です。もちろん差別的に描くことがメインではないのでしょうが、現代の読者としては問題意識を持ち続けていきたいと思っています。
【収録書】
- 新青年傑作選集4:ひとりで夜読むな:怪奇編/中島河太郎(角川書店:角川文庫)1977・改版角川ホラー文庫2001
- ミステリーの愉しみ1:奇想の森/鮎川哲也・島田荘司編(立風書房)1991
- 幻影城1978年6-7月号・雑誌再録
【初出】「新青年」1931年9月号
- *1: この二人をごっちゃにしていたのは私だけだろうか
この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2005/04/04.html