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[04手紙] ラブ・レター/浅田次郎
2005-04-09
出会いと別れの春です。メールも早くて手軽でいいんですが、時間のかかる手紙もいいですよね。
中国人に偽装結婚のため戸籍を貸した高野は「妻」が死んだことを知らされる。遺骨を引き取りに行くと彼女からの遺書が……「結婚ありがとうございました。謝謝」
あー、ごめんなさい(誰に?)。泣きました。単行本版と文庫版両方持っている自分にしては珍しい本です。文庫版には作者自身の各話解説と北上次郎の解説あり。
初読の時は白蘭の手紙のいじらしさに泣いたんですが、読み返してみると警察へ身元引き受けに行った高野が自分と夫婦であったことを他人に証明したくなっているところにぐっときます。ウソをそこまで固める必要はないのに、という泣き笑い。
斎藤美奈子の「趣味は読書。」でも取り上げられていましたが、「鉄道員」が「○○もの」と気づかないで読んでいた人って本当にいるんですか?そこが肝なのでは……。他の収録作もさまざまな短編の技法をつめこんだ、という感じでベスト短編集です。
直木賞で浅田次郎を初めて知って、さかのぼって読んでいったらどれもこれもおもしろかったので一時期夢中になりました。「蒼穹の昴」なんて電車のりすごしちゃったよ。ネタでしかありえないと思ってたのに。
しかしその後の作品は……うーん。「プリズンホテル」シリーズやエッセイ「勇気凛凛ルリの色」も初期の方がおもしろくて勢いがあると思います。お笑いものでもなんとなく売れなかった頃の鬱屈というか、意地のようなものがにじみ出てるところがよかったんだけどなー。
【収録書】
- 鉄道員(集英社)1997・文庫2000・第117回直木賞受賞作品集
- 鉄道員(大活字:大活字文庫)1998・オンディマンド版2000
- 奇妙な恋の物語/阿刀田高選・日本ペンクラブ編(光文社:光文社文庫)
- 鉄道員(集英社:集英社CDブック)1998
- 鉄道員 C.W.ラブ・レター/ながやす巧画(講談社)1999・講談社漫画文庫2000・講談社文庫2004
【初出】「オール讀物」1996年3月号
【映像化】森崎東監督・松竹1998
この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2005/04/09.html