« ラブ・レター/浅田次郎 | メイン | 星は、昴/谷甲州 »
[04手紙] 猫の手紙/岡沢孝雄
2005-04-11
この作家も探偵作家の例にもれず正体不明のようです。鮎川アンソロジーではあと1作将棋ミステリの「四桂*1」が採られていて、これもおもしろいです。この名前で活字化されたのはその2作だけのようですが、小説の文章は手慣れた感じなので誰か有名作家の余技なんでしょうか?文体が独特のユーモアを含んでいて、陰惨な話になりそうな所を軽くしています。
同じアパートの人妻と不倫の末、生まれた子が疎ましくなった「俺」。なんとか赤ん坊を亡き者にしようと鼠を使った策略を思いつくが……
「俺」の日記体でストーリーが進みます。うまく行くかに思えた計画。そこへ鼠を捕るために利用した猫「ミイ子」からの手紙が――。設定だけでもう充分身勝手な男、というのが伝わってきますが、殺人に至っても自分の手を汚さない方法を考えるというのもまた。こういう微妙な心理描写の積み重ねがラストの説得力にもつながっていて、うまいなあと感心してしまいます。
主人公は結構いろいろな探偵小説のトリックを知っているらしいので、作者自身も探偵小説好きの純文学作家なのかなあ(福永武彦みたいな)。すごーく気になっています。誰か教えて!
【収録書】
- 猫のミステリー傑作選/鮎川哲也編(河出書房新社:河出文庫)1986
- 猫のミステリー/鮎川哲也編(河出書房新社:河出文庫)1999(上記改版?)
【初出】「探偵実話」1956年6月号
- *1: 「殺意のトリック」双葉ノベルス収録
この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2005/04/11.html