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[04手紙] セメント樽の中の手紙/葉山嘉樹

2005-04-22

今回は短い作品で、ネタを割ってます。気になる方は下記の電子版などで読んでからご覧下さい。


プロレタリア文学の旗手として知られる葉山嘉樹の出世作。


あらすじ発電所を建てる現場で働く松戸与三は、開封したセメント樽の中に小さい木箱が入っているのを見つけた。開けてみると中には手紙が入っており、それはセメント袋を縫う女工の書いたものであった……。


私、教科書でこれを読んだんですが、どうみてもホラーでは……。授業でその辺に触れられないのが不満でした。ミステリ系のアンソロジーにも採られていることを知ってちょっと安心。江戸川乱歩絶賛、らしいです。

私の恋人はセメントになりました

いくらなんでも止めるだろ!そんなセメント出荷しないだろ!

とかツッコミでも入れないと想像がおそろしい方向に行きすぎます。すでに何人もの人がセメントになって各地の建築物に……えーと、読み方間違ってますね。


荒俣宏の「プロレタリア文学はものすごい」(平凡社新書)には他の作品も解説されていますが、これ読んだときに同じことを考える人がいたなあとほっとしたものでした(いや、アラマタ先生と比較しては失礼だけど)。だって描写が怖いですよ正直。「蟹工船」(小林多喜二)なんて筒井康隆の「蟹甲癬」しか覚えてないもんね。アラマタ解説によると葉山は子どもを餓死させた、という噂もあるらしいですが、確かに信用してしまいそうな話だ。


岩井志麻子は書影に挙げた「推理作家になりたくて」(作家が自選作と影響を受けた他作家作品を並べて収録するアンソロジー)では「ラブストーリーだと思った」と述べています。そうとも読めるかも。私は怖さの方が強いと思いましたが、愛の方を多く感じる人もいるかもしれません。

【初出】「文芸戦線」1926年1月号

【電子本】青空文庫版

http://www.aozora.gr.jp/cards/000031/files/228.html


【収録書】

  • 迷:推理作家になりたくて3/日本推理作家協会編(文藝春秋)2003
  • 葉山嘉樹短編小説選集(郷土出版社)1997
  • セメント樽の中の手紙:雨の日文庫第5集:現代日本文学・昭和戦前編1/葉山嘉樹ほか(麦書房)1969
  • 葉山嘉樹全集第1巻(筑摩書房)1975
  • 淫売婦・移動する村落(岩波書店:岩波文庫)1954
  • 葉山嘉樹全集:日本文学大全集(改造社)1933
  • 淫売婦(春陽堂)大正15
  • 現代日本小説大系第42巻/日本近代文学研究会編(河出書房)1955
  • 現代日本小説大系第40巻:プロレタリア文学1/日本近代文学研究会編(河出書房) 1951
  • 現代文学名作選/中島国彦監修(明治書院)2003
  • 現代怪奇小説集2/中島河太郎・紀田順一郎編(立風書房)1974・1977合冊
  • 日本の文学第39/谷崎潤一郎ほか編(中央公論社)1970
  • 中学生の文学11/成城国文学会編(ポプラ社)1969
  • 民主主義文学選集第1巻/新日本文学会編(改造社)1948
  • 経済小説名作選/城山三郎編(集英社:集英社文庫)1980
  • 現代日本文学館26/小林秀雄編(文芸春秋)1969
  • 日本プロレタリア文学選1/蔵原惟人(新日本出版社)1963・1969
  • 最初の衝撃:全集現代文学の発見1/大岡昇平ほか編(學藝書林)1968・2002
  • 日本短篇文学全集30/臼井吉見編(筑摩書房)1969
  • 日本の短編上/臼井吉見・平野謙編(毎日新聞社)1969
  • 日本現代文学全集73:葉山嘉樹・徳永直・黒島伝治集/伊藤整編(講談社)1964
  • 恐怖の森/日本ペンクラブ編(福武書店:福武文庫)1989
  • モダン都市文学8(平凡社)1990
  • 昭和文学全集32:中短編小説集/井上靖ほか編(小学館)1989
  • 日本プロレタリア文学集8(新日本出版社)1984
  • 日本の短編小説/小田切進編(潮出版社:潮文庫)1973
  • 筑摩現代文学大系36(筑摩書房)1979
  • 現代日本の文学/現代日本の文学編集部(双文社出版)1974
  • 現代日本文学大系56(筑摩書房)1971
  • 日本の文学39(中央公論社:アイボリーバックス)1974
  • 日本文学全集44:葉山嘉樹・黒島伝治・伊藤永之介集(集英社)1969・1975
  • 現代日本文学全集38(筑摩書房)1954
  • 現代文学大系37(筑摩書房)1966
  • 明治大正文学全集60巻:現代作家篇第2(春陽堂)1932
  • 民主主義文学選集1/新日本文学会編(改造社)1948

この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2005/04/22.html