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[02食] 冷たいのがお好き/小泉喜美子

2005-05-01

翻訳家としても知られる小泉喜美子の作品から私の最愛の短編を。日本人ばなれした作風で、自作も翻訳物みたいな雰囲気です。


あらすじ

本当のことを申しますとね、ある年の夏、わたしは完全犯罪に立ち会いました……。

女流推理作家の「わたし」は女友達に誘われて避暑地の別荘に出かけた。あとからやってきた彼女の恋人と手料理を囲むことになる。また、現地のホテルでは娘がアルバイトをしているはずだったのだが……


キーになっている料理*1は当時日本では普及していなかったでしょうね。私はこの作品でこの料理を知ったので、食べる機会があるとこの話をしてしまいます(ネタバレだけど)。

この作品のもう一つのみどころは海外ミステリのガイドにもなっているところ。女友達もミステリ好きで、別荘までの車中が海外ミステリ談義になってます。いまどき(1970年代当時?)は殺しのトリックなどには重点が置かれなくなったとか、人の心の謎に重点が置かれるようになったとか、興味深いです。そして推理作家の苦心とまた別の苦心とは……?それまでの要素がきちんとつながるところもあっといわせるし、ラストでもう一ひねりもある贅沢な作品です。


あんまり作者のプライベートと関連づけて小説を読むのは好きじゃないんですが、この作家の場合は生島治郎と結婚していたことや離婚したこと、突然の死など本人自体がミステリアス。出世作「弁護側の証人」(文藝春秋新社版)には高木彬光による推薦文があり、デビュー前の小泉喜美子が訪ねてきたときの様子が書かれています。

――以下意訳――

小泉「ポケミスは全部読んでます」

高木「買うだけでも大変なのでは」

小泉「タダですのよ――夫が早川に関係していて」

高木「え、早川の何ですか?」

小泉「――EQMM編集長でございます」

素人と思ってミステリ論をぶたなくてよかった、と焦る高木(^_^;)。


で、「冷たいのがお好き」は生島治郎の作品集の表題にもなっているようなんですが、内容は関係あるんでしょうか?生島作品のを読んだことがないのでわかりませんが、刊行年を見ると別れた後みたいです。


【収録書】

  • 殺さずにはいられない(青樹社:Big books)1986
  • 推理小説代表作選集1976年版/日本推理作家協会編(講談社)1976・文庫1981

【初出】「小説CLUB」1975年4月増刊号

【映像化】ドラマ:「火曜サスペンス劇場」1987/04/14

この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2005/05/01.html