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[04手紙] 温室事件/加田伶太郎

2005-08-13

純文学作家が覆面で書いた探偵小説。今となってはもう全集名でバレバレだけど、当時知らずに読んだ人はびっくりしたんだろうか?

今調べて知ったんだけど、第11回(1958年)日本探偵作家クラブ賞候補作。おお、鮎川哲也「五つの時計」と競ったのか(どっちも落選)。何となくすごい。次の12回にも候補になってます。


あらすじ文化大学教授の伊丹英典氏は名探偵として知られていた。ある春休み、伊豆へ旅行に出かけた伊丹氏は学生の縁で由緒ある家と知己になる。そしてその家で殺人事件が起こったという知らせが……。


いわゆる密室もの。大学教授がミステリに出てくると浮世離れした雰囲気になるのはなぜだろう。フランス留学から帰る船の中で聞いた事件を解決する「完全犯罪」が伊丹先生の探偵デビューです。どっちかというと安楽椅子探偵に入るんでしょうか。犯人と体で戦うわけじゃない。この作品では「再現できない密室」というのがミソ。ラストの手紙にはしみじみとさせられます。


マニアックなミステリを読んでいてうらやましく思うのが、登場人物がしょっちゅうミステリの話をしていること。原書を集めている人が出てきたり。私はミス研にもSF研にも縁がなく、語り合える人が身近にいません。寂しいのでこんなページを書いているわけです。周りに加田伶太郎なんて知ってる人いないよ……。って、そんなことうらやましがってどうする(^_^;)


【収録書】

  • 加田伶太郎全集:昭和ミステリ秘宝/福永武彦(扶桑社:扶桑社文庫)2001
  • 加田伶太郎全集(桃源社)1970
  • 加田伶太郎全集(新潮社:新潮文庫)1975
  • 福永武彦全小説第5巻:加田伶太郎全集(新潮社)1974(愛蔵版あり)
  • 福永武彦全集第5巻:加田伶太郎全集(新潮社)1988

【初出】「小説新潮」1957年1月号

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