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[01デビュー] 目撃者ご一報下さい/山村美紗
2006-01-28
「ミステリの女王*1」の実質デビュー作です。第1短編集「死体はクーラーが好き」には収録されておらず、あとがきに
ゲラになったのをみると、文章の幼いところが気になったので、少し手を入れようと思い、割愛した。
とあるので、文庫収録時には手を加えたのかも知れません。表題作になっている作品集は西村京太郎解説。西村氏が初めて読んだ山村作品らしいです。
夫を轢き逃げ事故で亡くした妻は目撃者を捜すため広告を出すことにした。新聞広告を見て集まった証言は……
登場人物それぞれの思惑が明らかになるラスト。なるほど、目撃者をつのる理由がそんなところに!偶然の輪も皮肉です。トリックと言えるほどの派手な仕掛けはないのですがそれがほどよく、意外な人間心理を描いています。他の初期短編も動機の意外さに驚いたりうなずいたり。
トリックメーカーとも言われる山村美紗ですが、機械的で今ひとつしっくり物語の中にはまりこんでいなかったりします(出世作「マラッカの海に消えた」も密室にあんまり意味がなかったり)。とにかく新しいアイデアを考えて取り入れるのが好きだったんでしょうね。初期には何かの手続きを上手くごまかす、というトリックが多いような。乱歩賞応募時からして郵便の消印トリック(という伝説)。
先日放送された「山村美紗物語」を結構楽しく見てしまいました。インタビュー部分も興味深かったです。現在も関係者がいらっしゃるのでいろいろ難しいとも思いますが、まあ、同じ名前の作家が登場するフィクションだと思えば……。西村京太郎が妙にいい人で笑えた。恬淡とした人だなー。ますますファンになりましたよ。
ご自身がミステリアスなのは確かですね。西村京太郎との関係も今ひとつよくわからないものがありました。美紗の夫はどんな人だったんだろう?紅葉以外の子どもは?謎が多い。50年後ぐらいにしがらみのない人が物語にしてくれないだろうか。おもしろそう。
【参考】
ファンサイト:山村美紗の世界>すべての作品(タイトルから収録作品集がわかる逆引きになっていてとても便利)
【収録書】
- 目撃者ご一報下さい(集英社:集英社文庫)1982
【初出】「推理界」1967年9月号
- *1: 正直、日本のクリスティは仁木悦子だと思うなあ
この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2006/01/28.html