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[11館] わが一高時代の犯罪/高木彬光

2006-03-04

名探偵神津恭介ものから。神津とワトソン役松下研三の出会いも描かれます。高木彬光の名作を挙げろと言われたら必ず上位ランクインするであろう作品。昔の推理小説なんて読みにくいしー、という方にぜひこの作品の冒頭だけでも読んでいただきたい。


あらすじ舞台は昭和13年。日本では軍事色が強くなりつつあったころ。神津と研三が学生生活を送る寮では、偽の一高生が出現する事件や、時計台で行われた肝試しでは人間消失事件、そして寮での殺人……


高木彬光は決して名文家とは言えないけれど、この冒頭はほんとに美しい。セピア色の風景を思い浮かべてしまう。続く学生生活の楽しさは、全く当時を知らない者でも引き込まれてしまい、こういう学生生活を送ってみたかったなーと笑いながら憧れました。西式健康法とか。最後は何度読んでも泣きそうになってしまう。


神津恭介の学生時代を扱った作品には他に「輓歌」があります。こっちは山田風太郎の探偵・荊木歓喜とも共演してたり(共作「悪霊の群」関連記述もあり)とマニアには見逃せない。


【収録書】

  • わが一高時代の犯罪
    • (岩谷書店)1951
    • (東方社)1955
    • (浪速書房:ナニワ・ブックス)1962
    • (桃源社:ポピュラー・ブックス)1966
    • (角川書店:角川文庫)1976
    • (光文社:光文社文庫)1996
    • (角川春樹事務所:ハルキ文庫)2000
  • 現代長編推理小説全集6(東都書房)1961
  • 新日本文学全集第21巻(集英社)1964
  • 別冊幻影城保存版no.7(幻影城)1977
  • 高木彬光長編推理小説全集2(光文社)1973
  • 高木彬光名探偵全集1(立風書房)1975

【初出】「宝石」1951年5/6月号


*びっくり仰天!

こちら(http://d.hatena.ne.jp/mmmichy/20060226#1140882855)のコメント欄を拝見していて、私もずっと高木彬光は三高から京大だと思いこんでいたのでとても驚きました。ええっ!!あまりに衝撃だったので初めてトラックバックさせていただきます。


あわてて積読になっていた「占い人生論」(巌松堂)を引っ張り出してみると

私は青森中学の四年を修了して、すぐ一高へ入学したが、その年、昭和十二年の十二月三十日に、父は死んでしまった。

とあって、叔父の援助で学業を続けたと書かれています。他のページにも一高とあって、誤植でもないみたいでした。京大出身だから三高だと思いこんでいたみたいです。他に神津ファンクラブ*1の同人誌「名探偵・神津恭介読本」にも一高の後輩という方の寄稿が……あー私の目はフシアナか。


そりゃそうだよなあ。あんなに詳しく実感をこめて寮の風習なんて描けないよね。三高を踏まえて書いたとずっと思いこんでいた。がーん。私の高木ファン歴十数年は……。

  • *1: 私の寄稿した原稿も載ってたりします……若気の至り

この記事へのリンク:http://wonder-tea.com/tamatebako/archives/2006/03/04.html